数学のノートの作り方は、きれいにまとめるより「あとで解き直せるか」で決めると失敗しません。基本は授業ノートと演習ノートの2冊。1問ごとに途中式・止まった行・解き直した日付を残す形にします。
この記事でわかること
- 数学のノートを授業ノートと演習ノートの2冊に分ける理由
- 板書を写すときの授業ノートの取り方
- 途中式・丸付け・解き直しの日付まで残す演習ノートの1問の型
- 解答を見たあとに何をどう書き残すか
- まとめノート・公式ノートを作るかどうかの目安
- 中学生・高校生・受験生の使い分けと、紙・サイズの選び方
結論を先に書きます
数学のノートは、見返して読むためのものより、もう一度解くためのものとして作ると役に立ちます。
色ペンで整えた見やすいノートでも、問題と解答が一緒に並んでいると、解き直すときに答えが目に入ってしまうのが難点です。逆に、字が少し乱れていても、どこで止まったかが書いてあるノートは、次の勉強にそのまま使えるのは、こちらのほうです。
この記事の要点
- ノートは授業ノートと演習ノートの2冊に分ける
- 演習ノートは1問ごとに日付・出典・問題番号を見出しにする
- 間違えた途中式は消しゴムで消さず、線を引いて残す
- 丸付けは○・△・×の3段階にして、△と×だけ解き直す
- まとめノートは作るとしても1単元1ページまで
公立高校で15年数学を指導し、いまは個別指導塾を経営している前田が、生徒のノートを見てきた中で残った書き方をまとめます。計算ミスの記録に絞った方法は数学の計算ミスをなくす方法で別に扱いました。
数学のノートは何のために作るのか
数学のノートの目的は、解いた過程をあとで振り返れるように残すことです。答えだけが並んだノートでは、次に同じ問題で止まったときに、どこを直せばいいかがわかりません。
高等学校学習指導要領(平成30年告示)は、数学科の目標に『問題解決の過程を振り返って考察を深めたり、評価・改善したりしようとする態度』を挙げています。振り返るには、過程が紙に残っている必要があります。ノートはその記録の置き場所です。
見やすいノートと、解き直せるノートの違い
| 見るところ | 見やすさを優先したノート | 解き直せるノート |
|---|---|---|
| 途中式 | 間違いを消して清書する | 間違えた式も線で消して残す |
| 解答 | 問題のすぐ下に正解を書く | 自分の解答と正解を分けて書く |
| 色 | 重要語ごとに色を変える | 色は役割を決めて3色まで |
| 見出し | 単元名だけ | 日付・出典・問題番号まで |
| 見返し方 | 読んで確認する | 解答を隠して解き直す |
右の列のノートは、見た目は地味です。それでも、テスト前に「どの問題を、もう一度解けばいいか」がすぐに見つかります。
数学のノートは役割で2冊に分ける
数学のノートは、授業ノートと演習ノートの2冊に分けるのが基本です。1冊に全部書くと、板書と自分の演習が混ざり、解き直す問題を探すのに時間がかかります。
授業ノートと演習ノートの役割
- 書くもの
- 板書・先生の説明・例題の解き方
- 目的
- 授業で習った考え方を残す
- 書くとき
- 授業中。わからない行には「?」
- 見返し方
- 例題を隠して、自分で解けるか確かめる
- 書くもの
- 問題集・宿題・プリントを自分で解いた記録
- 目的
- どこで止まったかを残し、解き直しに使う
- 書くとき
- 家庭学習・自習のとき
- 見返し方
- △と×の問題だけ、白紙から解き直す
図:授業ノートは習った考え方の記録、演習ノートは自分で解いた記録。分けておくと解き直す問題をすぐ探せる
2冊のほかに、必要な人だけ足すノートもあります。どれも最初から作る必要はありません。
数学で使うノートの種類と、作るかどうかの目安
| ノートの種類 | 中身 | 作る目安 |
|---|---|---|
| 授業ノート | 板書と先生の説明 | 全員 |
| 演習ノート | 自分で解いた問題の記録 | 全員 |
| ミスノート | 計算ミスの種類と防ぎ方 | 同じミスで点を落とし続けている人 |
| 解き直しシート | 模試や過去問の間違えた問題 | 模試・受験期の人 |
| まとめノート | 単元の公式と解き方の要点 | テスト前に見返す1枚がほしい人 |
ミスノートの作り方は先ほどの計算ミスの記事、模試の間違いを1問1枚で残す方法は数学の模試の復習方法で詳しく書きました。この記事では、全員が使う授業ノートと演習ノートを中心に進めます。
授業ノートの取り方
授業ノートで一番やってほしいのは、板書を写しながら、わからない行に印を付けることです。写す作業だけで手一杯になると、どこがわからなかったかが残りません。
ページの上に日付・単元・教科書のページを書く
授業が始まったら、まずページの上に日付と単元名、教科書のページを書きます。テスト前に「あの例題はどこだったか」と探す時間が、これでかなり減るはずです。
新しい単元に入るときは、ページの途中でも改ページしておくと、あとで見返しやすくなります。
色は役割を決めて3色まで
色を増やすほど、どこが大事なのかが見えにくくなります。数学なら、次の3色で十分です。
- 黒(鉛筆・シャープペン):板書と自分の解答
- 赤:先生が強調したところ、答え合わせの訂正
- 青:自分の疑問や、先生が口で言った補足
蛍光ペンで線を引くより、先生が口で言ったことを青で短く書き足すほうが、あとで読み返したときに意味がわかります。「ここで両辺を2乗すると答えが増えることがある」のような一言です。
わからない行には「?」を付けて先へ進む
授業中に1行でもわからない式があると、そこで手が止まりがちです。止まらずに、その行の横に「?」を付けて板書を写し続けてください。
授業が終わったら、その日のうちに「?」の行だけ見直します。教科書で解決しなければ、先生に聞きに行くときに、そのページを開いて見せれば短い時間で済みます。
例題は写して終わりにしない
例題の解き方は、写しておいてかまいません。ただし写しただけでは、自分で解けるようにはなりません。
家に帰ったら、例題の解答部分を手で隠して、授業ノートの余白か演習ノートで解いてみてください。手が止まった行が、その日の復習の対象です。予習と復習の時間の配り方は数学の予習・復習のやり方にまとめています。
演習ノートの書き方|1問の型
演習ノートは、1問ごとに同じ型で書くと、あとで解き直す問題を探しやすくなります。型は次の図のとおりです。
演習ノートの1問の型
- 1問ごとに、上から同じ順で書く
- 見出しの行日付・問題集の名前・ページ・問題番号。例「10/14 問題集 p.32 例題18」
- 解答の欄(ページの左側7割)1行に1つの式。等号の位置をそろえて縦に書く。間違えた式は消さずに線で消す
- メモの欄(ページの右側3割)使った考え方、止まった行とその理由。解答を見たときは「見た」と書く
- 判定の欄(問題の最後)○・△・×の印と、解き直した日付。例「△ → 10/16 ○」
図:見出し・解答・メモ・判定の4つをそろえると、△と×の問題だけを拾って解き直せる
ページの右側3割に縦線を1本引いておくと、解答とメモが混ざりません。
見出しに日付と出典を書く
見出しの行には、日付と問題集の名前、ページ、問題番号を書きます。出典が書いてあれば、解き直すときに元の問題をすぐ開けます。
日付は、解き直しの間隔を測る目印です。同じ問題を何日後に解けたかがわかると、忘れやすい単元が見えてきます。
1行に1つの式を書き、間違えた式は線で消す
式は1行に1つ。等号の位置は縦にそろえてください。横に長くつなげると、どの変形で間違えたのかを追えなくなります。
間違えたときは、消しゴムで消さずに斜めの線を1本引いて、その下に書き直してください。間違えた式が残っていると、自分がどこで何を勘違いしたかが、あとで見てもわかります。
丸付けは○・△・×の3段階にする
答え合わせのときは、正解か不正解かの2つではなく、3段階で印を付けます。
丸付けの3段階と、そのあとの扱い
| 印 | 状態 | そのあと |
|---|---|---|
| ○ | 何も見ずに最後まで解けた | 解き直さなくてよい |
| △ | 途中でヒントや解答を見た、時間がかかった | 2〜3日後に白紙から解き直す |
| × | 解けなかった、解答を読んでも納得できない | 解説を読み直し、翌日に解き直す。だめなら質問する |
△を付ける問題が、伸びしろの一番大きい問題です。正解した問題でも、途中で解答をのぞいたなら△にしておくと、解き直しの対象から漏れません。
解答を見たら、閉じてから書く
解けなくて解答を見るのは、悪いことではありません。気をつけたいのは、解答を見ながら赤ペンでそのまま写すことです。写した解答はきれいですが、自分で解けるようになったかどうかが残りません。
次の順で書くと、解答を見たあとでも自分の力で解いた記録になります。
解答を見たあとの書き方
- 写すのではなく、閉じてから自分で書く
- 1止まった行に印を付ける自分の解答のどこで止まったかに「?」。メモ欄に「ここで次の式が思いつかない」と一言
- 2解答を読んで、閉じる止まった行の次の1行だけ読む。全部を読むのは、それでも進めないとき
- 3何も見ずに続きを書く解答を閉じたまま、止まった行の続きから最後まで自分の手で書く
- 4判定は△にするメモ欄に「見た」と書き、2〜3日後に白紙から解き直す
解答を見た問題を△にしておくと、解き直しの対象から漏れない
図:止まった行に印を付け、解答を読んだら閉じて自分で書き直す。見た問題は△にして解き直しへ回す
解答の次の1行だけを読むのは、自分で考える部分をなるべく多く残すためです。塾で生徒のノートを見ていても、差ははっきり出ます。1行だけヒントをもらって残りを自分で書けた問題は、全部写した問題より、次に解いたときに手が動きます。
止まった行の理由がメモ欄にたまってくると、「場合分けの基準が決められない」のように、自分のつまずき方の癖も、だんだんはっきりしてくるでしょう。
△と×が減らないときはノートを見せて質問する
演習ノートのメモ欄に「止まった行」と理由が書いてあれば、質問するときにそのページを見せるだけで話が通じます。学校の先生に聞くときも、塾で聞くときも同じです。
△と×の印が1週間たっても減らないときは、自分だけで直すのが難しくなっているサインです。質問できる場を外に持つこともできます。自宅で受けられる形はオンライン数学塾のおすすめと費用比較、通塾も含めた高校生向けの選び方は高校生向け数学塾の選び方で比べられます。
まとめノート・公式ノートは作るべきか
まとめノートは、作らなくても困りません。作るなら、1単元につき1ページまでにしておくのがおすすめです。
単元ごとにきれいなまとめノートを作ろうとすると、清書に時間がとられ、問題を解く時間が減ります。教科書や参考書にすでにまとまっている内容を、もう一度書き写すことにもなります。
まとめノートを作るなら、この3つだけ書く
- 公式と、その公式の導き方(導けない公式だけ)
- その公式を使う場面を1行で(例:「解と係数の関係=2つの解の和と積が出てくるとき」)
- 演習ノートで△や×が多かった問題の番号
公式ノートも同じで、公式を並べて写すだけでは使えるようになりません。公式の横に「どんな問題で使うか」を書いておくと、問題を見たときにどの公式を使えばいいか迷いにくくなります。
公式は丸暗記よりも、導き方まで追っておくほうが、形が変わった問題に対応できます。覚えることと考えることの分け方は数学は暗記か思考力かでくわしく書きました。
学年・目的別のノートの使い方
ノートの基本形は同じでも、学年や目的によって力を入れるところが変わります。自分に近い行を見てください。
学年・目的別のノートの使い方
| 学年・目的 | ノートの組み方 | 力を入れるところ |
|---|---|---|
| 中学生 | 授業ノート+演習ノート | 途中式を省かずに書く。学校の提出ノートは学校の指示に合わせる |
| 高校生(定期テスト) | 授業ノート+演習ノート | 傍用問題集を演習ノートで解き、△と×をテスト前に解き直す |
| 高校生(大学受験) | 演習ノート+解き直しシート | 網羅系問題集の△と×を何周目かで消していく |
| 独学・学び直し | 演習ノート1冊から | 授業がない分、教科書の例題を演習ノートで解く |
中学生は、学校でノートを提出する場面もあります。提出するノートは学校の書き方に合わせて、家で問題を解く演習ノートは別に作ってかまいません。
高校生になると問題の量が増えるので、演習ノートの消費が早くなります。1冊を使い終わったら、表紙に使った期間と単元を書いておくと、受験期に古い△と×を拾い出せます。定期テストの2週間前からの進め方は高校の定期テスト数学で点数を上げる方法を見てください。
網羅系問題集を何周もする場合の回し方は青チャートの使い方とレベルで、周回と解き直しの記録の付け方まで書いています。
数学のノートに向く紙とサイズ
数学のノートは、図とグラフを大きく描ける紙を選ぶと使いやすくなります。罫線の種類ごとの向き不向きは次のとおりです。
数学のノートの紙の種類と向き不向き
| 紙の種類 | 向いている使い方 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 方眼 | グラフ・図形・座標 | マス目に合わせすぎて字が小さくなりやすい |
| ドット入り横罫 | 式とグラフの両方 | 迷ったらこれ。行も図も整えやすい |
| 横罫 | 式中心の計算・授業ノート | 図形やグラフは定規で大きめに描く |
| 無地 | 自由に図を描く演習 | 式が斜めになりやすい。下敷きの罫線で補う |
サイズは、教科書と同じくらいのB5判が持ち運びやすく、授業ノートに向いています。演習ノートは、図を大きく描ける分、A4判を選ぶ人もいます。
ノートとルーズリーフで迷ったら、授業ノートは綴じたノート、受験期の解き直しはルーズリーフ、という分け方がしやすいです。ルーズリーフなら、解けるようになった問題を抜いて、△と×の問題だけを束にできます。
よくある質問
Q1:数学のノートは見やすくまとめたほうがいいですか
見やすさより、解き直しに使えるかを優先してください。間違えた式を残し、止まった行に印が付いていれば、多少字が乱れていても役に立ちます。色を増やしたり清書したりする時間は、問題を解く時間に回すほうが進みます。
Q2:数学で答えを見るタイミングはいつがいいですか
何も書けずに手が止まった状態が、10〜15分ほど続いたら見てかまいません。見るときは止まった行の次の1行だけを読み、解答を閉じてから続きを自分で書きます。見た問題は△にして、2〜3日後に白紙から解き直してください。
Q3:数学のノートの右側に余白を空けるのはなぜですか
余白は、使った考え方や止まった理由を書くメモ欄です。解答と同じ欄に書くと、どれが自分の解答でどれが反省なのかが見分けにくくなります。ページの右側3割に縦線を1本引いておくだけで使えます。
Q4:数学のまとめノートは作ったほうがいいですか
作らなくても困りません。作るなら1単元1ページまでにして、公式の導き方、公式を使う場面、△や×が多かった問題の番号だけを書きます。教科書の内容をきれいに写し直すのは、時間のわりに得るものが少ない作業です。
Q5:数学のノートは何色のペンを使えばいいですか
黒・赤・青の3色で足ります。黒は板書と自分の解答、赤は先生の強調と答え合わせの訂正、青は自分の疑問や先生の口頭の補足、というように色ごとに役割を決めておくと、見返したときに迷いません。
まとめ
まとめ
- 数学のノートは、読み返すためより、もう一度解くために作る
- 授業ノートと演習ノートの2冊に分ける
- 授業ノートは日付・単元・ページを書き、わからない行に「?」を付ける
- 演習ノートは見出し・解答・メモ・判定の型で1問ずつ書き、間違えた式は線で消して残す
- 丸付けは○・△・×の3段階。解答を見た問題は△にして解き直す
- まとめノートは作るとしても1単元1ページまで
今日の演習から、ページの右側に縦線を1本引いて、メモ欄を作ってみてください。止まった行の理由を1つ書くだけでも、次に同じ問題を解くときの手がかりになります。
※本記事は数学のノートの作り方の一般的な整理です。合う書き方は学年・学校の授業の進め方・使う問題集によって異なります。学校でノートの提出や書き方の決まりがある場合は、学校の指示を優先してください。

